女性ユニオン東京30周年記念ネットラジオの文字起こしです。立ち上げ当初を知るメンバーがその頃体験したことや想いを語りました。この話は、YouTubeやSpotifyでも詳しくお聞きいただけます。
1つ前の記事では、女性ユニオン東京が誕生した1995年の時代背景と設立メンバーの熱い想いが語られました。
日本で労働組合に加入している労働者の割合は2023年6月末時点で16%台の過去最低水準、女性に限ると12%台になり、多くの人の仕事環境では労働組合が縁遠い状況が続いています。また逆に、労働組合に巨大で敷居が高いイメージがある方も多いかもしれません。そこであえてこの女性ユニオン東京の歴史と設立の背景と実際のところを紐解いていきます。
「できることから細々と」からの様変わり
10人から始まった女性ユニオン東京設立の小さな一歩
葉山夏子
最初は何人ぐらいで始めたんですか?
谷
これはね。やっぱり全国一般の中の大会で「じゃあ女性の組合作ろう」っていう風になったんだけども、実際に「女性交流会」にきてる女性たちっていうのは「とっても意義は認める」「必要だと思うよ。だけど、誰が担うんだろう」と。
※全国一般=一人から入れる・一般的なという意味の労働組合の全国組織。全国一般東京労働組合のこと。
※大会=労働組合の最高機関で意思決定をする会議。方針や予算、運営ルールや役員などを決めます。
葉山夏子
うんうん。ああ、そこが1番の問題だったわけ。
谷
うん。ていうのは、そこに集まった全国一般の女性たちっていうのは、仕事と家事・育児を抱えながら職場の組合があったりするわけね。全国一般の組合が分会があったり。
そうすると、そこの活動はそこまででもう手一杯だから、なかなか……「本部活動」って言うんだけど……そういう全国一般そのものの活動まで担う余裕がないっていうことなわけね。
※一人から入れる「ユニオン」や「合同労組」といわれる労働組合は各地域にあり、それぞれが別々に活動しています。そうした労働組合が全国一般のような全国組織に入っている状態です。女性ユニオンは逆に社会的に必要なことなので全国一般の有志が企画した新しい組合ということになります。
※分会=労働組合の中のグループ。職場単位で仲間が集まれる時に作ることができます。
谷
だから「女性ユニオン。女性のための組合作りたいと思うし、趣旨も賛成だけど、そこまではやれない」っていう声が多くて。じゃあ「もうとにかく、できるところからぼちぼちやってけばいいね」みたいな話で。「なんかあったら一緒にまたやろうね」みたいなことで、準備会を呼びかけて、少しずつやってたんです。だからその頃はまだね10名いたかいないかですね。
葉山夏子
最初はそんくらい少なかったんだ!
準備期間の女性ユニオン東京と、管理職への首切りが多発した世相
谷
うん。団体交渉を経験しているのはそのうち2人だから、どうしようかって。まあでも必要だし、とにかく踏み出していく行くしかないよね!っていうことで、準備を進めてたわけ。
それで、もちろん担う人も色々声かけて誘うということもやり始めてたんだけど。
そういう中でね、3月って結構、春って1年間の中で労働組合の存在が注目されたり、労働運動に焦点が当たるいわゆる春闘の時期っていうのがあってね。
※春闘=日本は3月決算の企業が多い。3月決算の場合、3月に人件費を含めたの翌年の予算が確定するので、労働組合と会社の間での団体交渉のピークがこの時期になります。毎年関係ニュースが報道されます。
なので、3月に結成したら少しはアピールするかな?と思ってたんだけど。
あとは「全国一般の事務所を借りて、そこを連絡先にすればいいし」「やれるところから始めよう」って言ってたら、ちょうどその全国一般でちょうどね「管理職もクビになってる」っていうのが社会的な問題になって。
※管理職もクビ=1995年はバブル崩壊後の時期で、終身雇用のつもりで就職した男性労働者に対して「リストラ」という名のクビ切り(解雇)が行われた時期でした。
それまで、例えば大きな会社の組合なんかは「課長になったらもう組合員じゃない。組合資格はない」というので外れちゃうわけね。
葉山夏子
そっかー
谷
で、そういう人たちがみんな狙われたわけですよ。で、そういう人たちを組織して「東京管理職ユニオン」っていうのを立ち上げたのね。それがすごく反響を呼んだんです
葉山夏子
うんうん。
谷
そこに来てたマスコミの人たちが「今度は女性の組合作るんだって」っていうので取材があったわけ。
それがちょうどね。今も覚えてる。3月4日(土)に朝日と毎日と偶然同じ日に社会面に乗ったんです。
ねこくま
あー。
葉山夏子
おお、そうそう。社会面だった!
谷
その記事からもう様変わりです。
あの、その記事ね今ちょっとPDFにしたのがあるので共有しましょう。
ねこくま
お願いします。
葉山夏子
私その記事どっかにどっかしまったかわかんないけど、もうなんか黄ばんだ記事は出てこないんだな。
谷
見えますかー?
ねこくま
あ、すごい見えます。
※このネットラジオはZoomを使用して話をしていました。
葉山夏子
はい。ただあの細かいのはちょっと目を凝らして。うん、当時はね新聞字が今よりもっと小っちゃかったです。時代の流れもあるけど。ああ、懐かしい!
ねこくま
そうだ!保育園生って言ったんですけど、私もこの時あの小学校上がるかな~?っていう歳です!
新聞報道が呼び起こした女性労働組合への反響と熱意
谷
あのね。それであの、日にちは、会場の関係もあってなんだけど、3月19日を決起大会にしよう!っていうことで、準備始めてたんですね。
そしたらこれ(記事)が3月4日に載って。
葉山夏子
ええええ。
谷
うん。もうこれ土曜日の朝刊だったんですけど、電話が全国一般の事務所からかかってきて「ちょっともう、すごい電話になってるから、とにかく来い!」みたいな話に。飛び込んでいったら、もう問い合わせの電話の嵐だった。切ったらまたすぐかかってくる!みたいなかたちだった。
葉山夏子
うん。
谷
ここ(記事)に電話番号書いてあるしね。
葉山夏子
当時はインターネットは(一般的では)なかったですね。
谷
うん。だってその準備のレジュメなんか全部手書きだったりしてた時代だからね。
葉山夏子
あ、そっか。Windows95が出た時。まだ3.1か。
谷
まだ当時はメールっていうよりもパソコン通信。
葉山夏子
パソコン通信でしたね!
※パソコン通信=パソコンや一部の対応ワードプロセッサという文書管理に特化した端末などを用いて電話回線から参加できるネットワークが大小さまざま、あちこちに存在していました。お互いの通信は閉じているが、SNSのDMのようにネットワーク内で電子メールを利用できます。インターネットの「インター」はこうした閉じたネットワークを超えてつなぐという意味合いが含まれます。
谷
うん(パソ通)やってた頃のことで。
それでね。それの電話がすごく「待ってた」「こういうの待ってた参加したい」「なんかお手伝したい」とかね、物凄いんですよ!
葉山夏子
うん
参加希望の声と女性たちから切実な労働相談。結成前から活動が始まった!
谷
で、その中には、3月って年度末だから、やっぱり「解雇言われた!」とかね、そういう相談も、もう一緒に来ちゃうわけ。そういうの待ったなし!だから、もう全国一派の名前でどんどん団体交渉を申し入れちゃうというので、結成大会前から活動が始まっちゃった。
すごかったんですよ!
「この日からだからぼちぼちやれる範囲で」みたいやっていこうっていうのが、もう様変わりしちゃったんだけど、それでもあのそういう「なんとかなんか手伝いたい」っていう人たち、女性たちの声が実際には来て、あの「じゃあ、何を手伝ったらいい?」とかね。
「じゃあ一緒に話聞こう」だとか「申し入れ行こう」だとかできちゃったわけです。
1人のプロより100人のセミプロ
葉山夏子
やっとそれで、だんだんこれで……なんて言うんでしょう。
本当にみんなが「女性の組合を待ってた!」っていうところが。
谷
女性たちの力にすごい信頼。信頼っていうか、励まされたというか、信頼を強めたというか。だから、この頃からあの「1人のプロより100人のセミプロ」。「みんな素人集団でいいから一緒にやろうね」みたいなことができて。
だから今もユニオンのこうポリシーとして大事にしてるところていうのが、この熱気の中で「みんなで育んできた」みたいなことが言えるかなと思います。
葉山夏子
そうですかあ~!!!
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